介護保険で自宅生活する強いミカタ!居宅介護支援事業所とは?

居宅介護支援事業所とは、介護支援専門員(ケアマネジャー)が在籍している事業所です。

ケアマネジャーは、介護保険のサービスを利用しながら自宅で生活をしている人(要介護者)が自立した日常生活を送ることができるよう、介護サービスを利用するためのケアプランを作成し、サービスを提供する事業者などとの連絡や手配を行っています。

今回は、居宅介護支援事業所とケアマネジャーについてお伝えします。

居宅介護支援事業所とは?

居宅介護支援事業所。なにやら難しい言葉ですが、介護保険では「自宅」のことを「居宅」と言います。

つまり居宅介護支援事業所は、分かりやすく言うと「自宅で介護保険のサービスを利用している人を支援する事業を行う事業所」となります。

ただし、支援の対象となる人は要介護認定で「要介護1~5」の認定を受けた人になります。

「要支援1・2」の認定を受けた方が対象となる事業所は「地域包括支援センター」になります。

そして、居宅介護支援事業所には介護支援専門員が在籍しています。

介護支援専門員とはケアマネジャーのことです。

余談にはなりますが、ケアマネージャーではありません。

介護に関するチラシやホームページで「ケアマネージャー」と表記しているのを目にすると「あ~。間違ってるわ」と思ってしまいます。

居宅介護支援事業所の報酬(収入)は、居宅介護支援費

居宅介護支援事業所の報酬(収入)は、居宅介護支援費と呼ばれています。

居宅介護支援費は、ケアマネジャーが、ケアプランを作成した担当している利用者(要介護者)の人数に対して1ヶ月ごとに得られる介護報酬のことです。

ケアプランを作成してもらっても、利用者(要介護者)は居宅介護支援事業所へお金は払いません。

また、介護保険のサービスを利用すると発生する自己負担金も発生しません。

では、ケアマネジャーを抱える居宅介護支援事業所にはどこから報酬が支払われているのでしょうか。ずばり!介護保険からです。

例えば、

要介護3の利用者のケアプランを1件作成した場合
1,398単位(居宅介護支援費Ⅰ)×10円=13,980円

上記以外に一定の条件を満たした場合に加算を追加することができます。

居宅介護支援費(Ⅰ)とは、ケアマネジャー1人当たりの取扱件数40件までに与えられる単位数で、40件を超え60件未満の場合には698単位となってしまいます。

つまり、1人のケアマネジャーが沢山の利用者に対してケアプランを作成すれば、沢山報酬が得られるという仕組みではありません。

しかし、一定の情報通信機器(人工知能関連技術を活用したものを含む)の活用または事務職員の配置を行っている場合は、居宅介護支援費(Ⅱ)に算定され、ケアマネジャー1人当たりの取扱件数45件までが1,398単位となります。

簡単に言うと、事務員さんがいる居宅介護支援事業所の方が、ケアマネジャー1人が作成できるケアプランが5件増えても報酬は減らないという仕組みです。

土日祭日24時間連絡が取れる居宅介護支援事業所

「ケアマネジャーに連絡をしたいが、平日の時間外、土日や祭日は休みで連絡は取れない。何か緊急に相談したいことがあっても夜は連絡が取れない」そんな話をよく伺います。

居宅介護支援事業所は、9:00~18:00の時間帯に業務を行っているところが多く、業務時間以外は留守電になってしまいます。

しかし、24時間連絡が取れる居宅介護支援事業所があるのです。

それは、実施・提供しているサービスの質が高いと認められた「特定事業所加算が受けられる」居宅介護支援事業所です。

特定事業所の加算が認められるのには、下記の条件をクリアする必要があります。

常勤の主任介護支援専門員(ケアマネジャー)を2名以上配置していること
常勤の介護支援専門員(ケアマネジャー)を3名以上配置していること
利用者に関する情報やサービス提供時の注意事項の共有を行う会議を週1回以上実施していること
24時間の連絡体制や相談に対応できる体制を確保していること
要介護3~5の利用者が全利用者数の4割以上であること
介護支援専門員(ケアマネジャー)に対し、計画的に研修を実施していること
地域統括センターより支援困難な事例を紹介された場合でも、係る者に居宅介護支援を提供していること
地域包括支援センター主催の事例検討会への参加していること
運営基準減算もしくは特定事業所集中減算を受けていないこと
1介護支援専門員(ケアマネジャー)1名当たり40名未満であること人に対して利用者数が40名未満であること
ケアマネジメントの基礎技術に関する実習に協力している

特定事業所加算を受けている居宅介護支援事業所は、24時間連絡が可能です。

実際にこのような事業所では、事務所の電話を携帯に転送する方法でスタッフの方々が、当番制で連絡に対応しています。

但し、「24時間対応が可能」と言っても、むやみやたらに連絡をすることは控えましょう。何故24時間連絡を取る必要があるのでしょうか?

例えば、「独居で認知症のある担当の利用者が、夜間徘徊をして交通事故のにあい、救急搬送をされたが、独居で身寄りもいないため居宅介護支援事業所以外に連絡先がなかった」など、緊急時のための対応策です。

通常の業務時間以外に連絡をする場合は、本当にやむを得ない場合のみにしてくださいね。

居宅介護支援事業所に所属しているケアマネジャーの仕事

ケアマネジャーは大きく分けて2つの職場に分かれて仕事をしています。

1つは、居宅介護支援事業所に所属し、自宅で介護保険を利用して生活している方に対してサービスを提供している「居宅のケアマネジャー」。

もう1つは、特別養護老人ホームや介護付有料老人ホームなどの施設に所属し、施設内で生活している人に対してサービスを提供している「施設のケアマネジャー」。がいます。

どちらのケアマネジャーもケアプランを作成するだけが、ケアマネジャーの仕事ではありません。

では、他にどんな仕事があるのか大まかにご紹介します。

ケアプランの作成

介護保険のサービスを利用するためには、「ケアプラン」が必要になりますが、その「ケアプラン」を作成してくれるのがケアマネジャーです。

ケアプランは、下記のような流れで作成されています。

アセスメント

ケアマネジャーが利用者(=要介護者)の心身の状況や生活環境などを把握し、課題を分析します。

ご本人(=利用者)やご家族の要望を把握

ご本人やご家族から、希望や要望を聞き取りご本人にあったサービス事業所を選定します。

ケアプランの作成

利用者の課題や希望や要望を基に、利用するサービスの種類や回数を決め、サービス利用の手続きを行います。

事業所との契約後、サービスの利用開始

利用者が、サービス事業所と契約し、ケアプランに基づいてサービスの利用がスタートします。

サービス提供事業者との連絡、調整

例えば、ショートステイを利用したい場合、ケアマネジャーにショートステイを利用したい日にちを伝えると、ケアマネジャーがショートステイへ連絡し利用可能かどうかを確認してくれます。

ちなみに私は、ケアマネジャーを介さず直接ショートステイへ連絡しています。

なぜなら、ショートステイを希望する日程が満室の場合、ケアマネジャーから「満室でした、どうしますか?」と連絡があり、再度日程調整をしてまたケアマネジャーからショートステイへ連絡をしてもらうということになり、なんども連絡をすることになります。

私が直接ショートステイに連絡をすれば一度で済むからです。

一ヶ月に1回利用者宅を訪問する

一ヶ月に1回は居宅を訪問し、利用者に面接した上で、そのモニタリングの結果を記録する。

わが家の父は認知症のため、1ヶ月に一度訪問してくれるケアマネジャーの顔を覚えることができません。

したがって、いつも「お前は誰だ!何をしに来た」という形相で不審げにケアマネジャーを見ます。

ケアマネジャーが父に話しかけるとあきらかに不機嫌になるため、父の状態だけを確認してもらい、日々の状況などは私が報告しています。

サービス担当者会議の開催

サービス担当者会議とは、ケアプランの内容を利用者が利用している各サービスの担当者が集まって検討しあう会議です。

家族や本人も参加し、よりよいサービスを提供するための意見を出し合ったり、情報の共有をします。

我が家の場合、デイサービス(2事業所)とショートステイ、訪問介護、福祉用具専門相談員が一同に会します。

サービス担当者会議は、基本的に利用者の自宅での開催が望ましいとされています。

しかし、自宅に6名もの人が集まって会議をするスペースがないため、デイサービスの相談室で行っていますが、日程を合わせるだけでも一苦労です。

給付管理業務

利用者が介護保険サービスを利用すると、サービス提供事業者は介護給付費(利用者負担分を除くサービス利用料)を国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)に請求することとなります。

国保連は審査を行ったうえで、サービス事業所に給付を行います。(※WAMネットより転載)

ケアマネジャーは、1ヶ月単位で利用者の介護保険サービスの利用予定表を作成し、その後、予定表通りにサービスが提供されたかを確認します。

確認後、給付管理表を国保連に送付します。

その他にも次のような業務があります。

  • サービスに関する苦情の受付、取次ぎ
  • 市町村から受託している場合の認定調査
  • 介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型医療施設)に入所する場合の紹介等

居宅介護支援事業所の選び方

まずは、お住まいの近くにある事業所を探しましょう。

自宅で介護を受けるにあたり、連携はとても大切です。

また、近隣の事業所であれば、お住いの地域にある訪問介護事業所(ヘルパーさんがいる事業所)やデイサービスなどのサービス事情に詳しいケースが多く、よい提案をしてくれる可能性があります。

また、緊急時にも速やかに対応してもらえるかもしれません。

そして、一番大切なことは、居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーとの相性です。

ケアマネジャーと言っても、十人十色。親身に相談に乗ってくれるケアマネジャーもいれば、事務的なケアマネジャーもいます。ご本人やご家族に合ったケアマネジャーを選びましょう。

もし、「相性が悪いな」と感じたら、ケアマネジャーを変更しましょう。

また、居宅介護支援事業所と同じ会社がデイサービスや訪問介護事業所を運営している場合、同社で運営しているデイサービスや訪問介護事業所を優先的に提案されることがあります。

ケアマネジャーには、中立で公平な立場であることが求められています。

疑問を感じたら、何故、同社運営の事業所の利用を提案するのか質問してみましょう。

自宅で介護サービスを利用しながら生活していくためには欠かせない居宅介護支援事業所。

どこの居宅介護支援事業所を選んでよいか?迷った場合には地域包括支援センターに相談してみてはいかがでしょうか?

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