生活支援・認知症・介護・身元保証・有料老人ホームへの住み替え・終活まで。シニアが安心して暮らせる総合支援窓口

今回はサービス付き高齢者向け住宅についてのご説明を致します。介護付有料老人ホームより色々な形態があり、とても解かりにくいということを最初にお伝えしておきます。

サービス付き高齢者向け住宅への入居をご検討の方が「こんなはずじゃなかった!」とならないためにも、少々ややこしいですが是非ご参考になさって下さい。

目次

年々、増加しているサービス付き高齢者向け住宅

最近、ものすごい勢いで勢力を拡大しつつあるサービス付き高齢者向け住宅。

2020年12月末で、全国のサービス付き高齢者向け住宅の数は7,764件(262,021戸)と、8,234施設(2019年調べ)ある特養に迫る勢いとなっています。ちなみに、介護付有料老人ホームの総数は15,134施設(2019年調べ)となっています。

破竹の勢いで増えていますが、介護付有料老人ホームより数が少ない理由は、2000年の介護保険発足時にはなかったサービスだったためです。

2011年10月の法改正により「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」・「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」・「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」の3つの住宅制度が一本化されて誕生したのが「サービス付き高齢者向け住宅」です。

介護付有料老人ホームより11年も後発でスタートしたサービスにも関わらず、2020年には7,764件との報告がされています。実際には数字が発表されてから1年半が経過していますので、もしかすると特養の数をはるかに上回っているかもしれません。

「一般型」と「介護型」と2タイプあるサービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」と「介護型」の2つがあります。、

「介護型」は特定施設入居者生活介護の指定を受けていて、受けられるサービスは介護付有料老人ホームと同じですので今回は「一般型」の説明をします。

一般型のサービス付き高齢者向け住宅とは「高齢者向けのバリアフリーの賃貸住宅」で、高齢者が安心して暮らせるように「安否確認」と「生活相談(支援)」が付いています。

見守りセンサーや緊急通報装置が設置されているサービス付き高齢者向け住宅もあり、介護が必要になったら外部の介護サービス事業所と契約をして訪問介護やデイサービスなどを利用できるので、高齢者が暮らしやすい環境です。

簡単に言うと「元気ですか? 何かお困っていることはありませんか?」と声をかけてくれる人がいて、概ね60歳以上の方が入居できる賃貸マンションです。

介護付有料老人ホームに比べてサービス付き高齢者向け住宅の月額利用料が安い理由は、介護保険の自己負担分が含まれてなく、介護が必要になった場合は、別途外部の事業所と契約してサービスを利用する必要があるためです。

一人暮らしが不安な方に最適

賃貸借契約のため、初期費用として敷金や火災保険加入が必要ですが、礼金や更新料は不要です。

入居にあたっては、身元引受人や連帯保証人を必要とするサービス付き高齢者向け住宅がほとんどです。

独居で身寄りのない方や、親戚等が高齢のため連帯保証人を立てられない方は、高齢者住宅財団の家賃債務保証制度を利用できる場合もあるので、入居を希望するサービス付き高齢者向け住宅に相談して下さい。

月額に必要な金額は、家賃・共益費・光熱費のほか、希望をすれば朝・昼・晩の食事の提供や、居室の掃除・洗濯・買い物といった生活支援サービスを受けられます。

一人当たりの床面積は25㎡以上(条件付で18㎡以上も可)と定められていて、ミニキッチンやお風呂が付いているところが多いですが、カーテン(防炎加工)やベッドなどの家具類は付帯されていないので、ご自身のお好みの部屋にすることができるのも魅力の一つです。

「高齢者向けのバリアフリーの賃貸住宅」なので、自由に外出や旅行にも行くこともできるし、お友達を呼ぶこともできるため、買い物などの外出が自由にできない特養や介護付有料老人ホームに比べれば、自由度が高いのが一番のメリットかもしれません。

サービス付き高齢者向け住宅は、介護付有料老人ホームと異なり自立の方でも入居できるのですが、最近の傾向として、要介護認定を受けていないと入居できないサービス付き高齢者向け住宅の方が増加しています。

自立入居不可のサービス付き高齢者向け住宅が増えた理由

サービス付き高齢者向け住宅が誕生した要因の一つに、高齢者が住んでいる賃貸物件の更新時に、貸主側から更新を拒否するケースが増えている背景がありました。

貸主側からすると「高齢者なので火事が心配」・「孤独死され、事故物件にしたくない」などの理由があり、その結果、賃貸住宅難民高齢者が増えたのです。

そこで立ち上がったのが国土交通省です。「高齢者が安心して安全に暮らせる住まいを~」という名目のもとに、作られたサービスです。

ちなみに、特別養護老人ホームも介護付有料老人ホームも管轄は厚生労働省ですが、サービス付き高齢者向け住宅は国土交通が管轄となっているのはそのためです
※見守り、生活相談サービスに関しては厚生労働省が指導・監督と両省共管で行われている。

発足当初は「一人暮らしに不安のある高齢者向けの住宅だ!これから日本はもっと高齢者が増えるのだから、ニーズはあるはずだ!」と、多くのハウスメーカー等がサービス付き高齢者向けを建築しましたが、現実はそう甘くありませんでした。

一気に沢山のサービス付き高齢者向けが完成しましたが、どこも入居者獲得に苦戦し、何年経っても満室にならないサービス付き高齢者向け住宅だらけとなりました。

高齢者は、ご近所にお友達が沢山いる住み慣れた地域や、長年過ごしてきた愛着のある家家に愛着があるためです。

関わらせて頂いた事例

私が関わらせていただいた事例のお話です。

賃貸物件の更新を断られたAさん。

要支援2ということもあり、サービス付き高齢者向け住宅を探すことにしました。

Aさんのご希望は「いままで通り、朝、〇〇公園にラジオ体操に通える距離」でした。Aさんの楽しみは、朝ラジオ体操に行き、そこで知り合ったお友達とお話をすることでした。

Aさんの事例でも分かるように、たとえ「一人暮らしが不安」だとしても、知らない場所で知らない人だらけの場所に「あら!いい賃貸住宅ができたわね~」という感じで、移り住む高齢者の数が少なかったのです。

多くのサービス付き高齢者向け住宅や介護付有料老人ホームは、オーナー(地主さん)が建物を建て、運営会社はオーナーと25年~30年のリースバック方式をとっている所がほとんどです。

建物は完成したけど入居者がいませんでは、運営会社の赤字は膨らむばかりです。そこで、しばらくすると空いている1階に、クリニックが併設されたサービス付き高齢者向け住宅が、ちらほら出来始めました。

高齢者=クリニックに通うという発想でしょう。すると「同じ建物にクリニックがあると便利よね」と思った方が入居するケースが増え、次第にクリニック併設のサービス付き高齢者向け住宅から入居者が増え始めたのです。

サービス付き高齢者向け住宅は、介護が必要になった場合は外部の介護サービス事業者と契約を結び、介護を受けることになります。そこに目を付けたのが、介護サービスを提供する事業者です。

  • 1階にデイサービスを作って、サービス付き高齢者向け住宅の入居者に通ってもらおう!
  • 訪問看護をステーションを作って、サービス付き高齢者向け住宅の入居者へ訪問介護を提供しよう!

しかし、デイサービスや訪問介護ステーションを併設しても、ケアマネジャーがその事業所を利用するようなプランを作成しない事には利用してくれません。

そこで「そうだ!居宅介護支援事業所を作れば、サービス付き高齢者向け住宅の入居者のケアプランが作れるぞ!」と次第に1階には、多くの居宅系のサービス事業所が併設されるようになりました。

そしてついには「入居者へワンストップでサービスが提供できるようにしよう!」と、入居者のケアプランは同一法人の居宅支援事業所のケアマネジャーが、同一法人が運営するデイサービスや訪問介護を利用するようなケアプランを作成し、家賃の他に介護保険報酬が入ってくる仕組みを作りました。

この仕組みが出来上がってからは、「自立の方は入居不可」というサービス付き高齢者向け住宅が増えたのです。もちろん「自立入居可」のサービス付き高齢者向け住宅もありますが、探す方が難しいほど数が少ないのが現状です。

施設ごとに異なるサービス提供内容

サービス付き高齢者向け住宅が誕生した当初は、賃貸住宅であることから身の回りのことができ、要介護度が低く自立度の高い人が入るところというイメージがありました。

基本サービスは「安否確認」・「生活相談(支援)」の2つで、9時~17時まではスタッフがホーム内の事務所に常駐し、安否確認サービスを提供することが義務付けられています。
1時間に1回の安否確認をしてくれるホームもあれば、食事の提供時間だけのところもあります。

義務付けされていない時間帯には、スタッフが不在となるサービス付き高齢者向け住宅もあります。緊急時の対応は、入居者が部屋に設置されている通報システムを利用し、警備会社に連絡をするという具合です。

あまりにも低価格な場合は、夜間スタッフが不在だったり、安否確認の回数が少ないなんてこともありますので、事前によく調べることをおすすめします。

ある程度自立度が高く、一人の時間を大切にしたい方には合っているかもしれません。ホームによってサービスの提供方法が異なります。最近は、協力医療機関のドクターや訪問看護と連携して看取りまで行う言うホームも多くなってきています。

認知症の症状が進み、他の入居者への迷惑行為が増えた場合は、退去しなければならないケースもありますので入居をご検討される場合は、介護付有料老人ホームを選ぶよりももっと慎重になった方が良いかもしれません。

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この記事を書いた人

埼玉県生まれ。博報堂勤務を経て、埼玉県内の介護事業会社勤務。
医療福祉接遇インストラクター、東京都福祉サービス評価推進機構評価者。
2001年より成長期の大手介護事業会社において、広告宣伝室室長として、社外向けの広報誌の作成、入居者促進業務に携わる。

書籍
『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』

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