生活支援・認知症・介護・身元保証・有料老人ホームへの住み替え・終活まで。シニアが安心して暮らせる総合支援窓口

介護保険を使えるサービスは色々ありますが、「名前は聞いたことはあるけれど、詳しくはよく解らない」という方も多いと思います。

そこで、今回はケアハウスとはどういった役割をもっているのかをご説明致します。

目次

ケアハウスとは?

ケアハウスとは、社会福祉法人や地方自治体、民間事業者などによって運営される福祉施設で、概ね60歳以上の高齢者が、低額な料金で食事の提供や洗濯などの日常生活上必要なサービスや介護サービスを受けられる施設です。

軽費老人ホームの一種で、「軽費老人ホームC型」とも呼ばれています。

軽費老人ホームはA型、B型、都市型、C型の4つに分けられてます。

面積の基準は、単身者対象の居室は21.6m²(13畳)以上、夫婦対象の居室は31.9m²(19畳)以上となっており、館内はバリアフリー構造で居室は原則個室です。

居室には洗面所、トイレ、ミニキッチン、収納設備があり、共有スペースには食堂、浴室、談話室などが設けられて館内放送が全館に届くようになっています。

A型
収入が一定程度以下で身寄りのない方、または家庭の事情などによって家族との同居が困難な方を対象としています。食事の提供があります。

B型
家庭環境、住宅事情などの理由により居宅(自宅)において生活することが困難な方を対象としていて、食事の提供はなく、原則として自炊です。

都市型
ひとり暮らしを続けることが不安な方などを対象とし、困ったときには支援を受けられる「ケア付きすまい」が必要であるとの東京都の提言を契機に、平成22年度に創設された高齢者施設です。

地価が高い都市部でも整備が進むよう、従来の軽費老人ホーム(ケアハウス)と比較すると、居室面積や職員配置に関する基準が緩和されています。

C型
「一般型」と「介護型」に分けられていて、サービス内容が異なります。

上記でご説明したA型とB型は現在、経過的措置であり、新設は認められていません。

厚生労働省はケアハウスを、「無料または低額の料金で食事の提供(B型は自炊)その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設」と定義しています。

このことからも解るように、「低額」な利用料で入居できる施設です。年収の少ない方や何等かの事情により自宅での生活が難しい方にとっては、なくてはならない施設と言ってもいいでしょう。

そこで、さいたま市で起こっている事例をご紹介致します。

1993年に開設された、さいたま市が運営しているケアハウスを民間参入や老朽化などを理由に2030年3月末に廃止する予定と発表しました。

同ケアハウスに入居されている70名の方に関しては、市社会福祉事業団と連携して、他の施設への転所を調整する方針でいます。

しかし入居者からは「終の棲家だと思っていた」、「やっと安心して生活ができると思っていたのに、寝耳に水だ」、「収入が少ないので、他の施設で料金が払えるか不安」と困惑の声が多く挙がっています。

この事例からも解るように、収入の関係で民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等に入居できない方のための、セイフティー施設の役割もあります。

軽費老人ホームの種類

 軽費A型経費B型ケアハウス(C型)
食事の提供ありなしあり
介護サービスなし 外部サービス利用可なし 外部サービス利用可一般型:なし (外部サービス利用可能) 介護型:あり

ケアハウスC型は、「一般(自立)型」と「介護型」の2種類

A型、B型は、今後なくなることが決定していますので、ここからは、ケアハウスC型についてご紹介します。

ケアハウスには一般(自立)型ケアハウスと介護型(特定施設)ケアハウスに分かれています。

どちらも、「食事サービス」を受けることができますので、自炊の必要はありません。また、施設主催の「レクリエーションやイベント」を開催しているケースも多いようです。

一般(自立)型ケアハウス

一般(自立)型ケアハウスは、家族による援助を受けることや同居することが難しく、生活の一部にサポートを必要とするなど、自立した生活に不安のある60歳以上の方が入居できます。

また、ご夫婦で入居を希望される場合は、どちらか一方が60歳以上であれば入居が可能です。

受けられるサービスは、食事、掃除・洗濯等の生活支援、緊急時の対応などです。24時間スタッフが常駐していて居室にはナースコールなどの緊急通報システムが設置されているので、緊急時にはスタッフが対応します。

介護サービスを利用する場合は、外部の事業者との契約となりますが、要介護度が高くなったり、常時医療行為が必要になった場合には退去しなければならないケースもあります。

介護型(特定施設)ケアハウス

介護型(特定施設)ケアハウスは、65歳以上で要介護度1以上の高齢者を対象としている特定施設入居者生活介護(※)の指定を受けている施設です。

入居者は、食事の提供や生活援助サービスだけでなく、入浴、排泄、機能訓練、療養上のケア(状態により異なる)を受けることができる施設です。

認知症の方の受け入れや看取りの対応をしているところもあり、介護度が上がっても退去する必要はありません。

また、提携の医療機関からの訪問診療を受けることもできるため、健康管理やある程度の医療的ケアにも対応できる体制が整っています。

特別養護老人ホームと同等のサービスを受けることができますが、特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上でないと入居できませんが、介護型(特定施設)ケアハウスは、要介護1から入居することができます。

※特定施設入居者生活介護:介護保険の指定を受けた施設で、24時間365日施設に常駐している職員から、入浴・排泄・食事などの介護、その他必要な生活支援を受けることができます。なお介護サービスは介護保険が適用されます。

ケアハウスC型入居の条件

 自立型ケアハウス介護型(特定施設)ケアハウス
年齢60歳以上65歳以上
要介護度自立(要支援・要介護は応相談)要介護1以上
所得制限なし(所得に応じて利用料が変動)なし(所得に応じて利用料が変動)

初期費用と月額費用

軽費老人ホームA型・B型の入居には所得制限がありますが、ケアハウスC型にはありません。

また、軽費老人ホームA型・B型には初期費用はかかりませんが、ケアハウスC型は初期費用が必要です。

【初期費用】

初期費用とは、入居時に支払う「保証金」や「一時入居金」のことです。

保証金

自立型ケアハウスに入居する場合には「保証金」が必要で、これはマンションやアパートを借りる時に発生する賃貸借契約時の敷金のようなものです。

退去時には、現状回復費やクリーニング費用等の名目を差し引いた額が返還されるケースが多いようですが、詳細についてはご入居を検討されている施設に問い合わせてみる事をお薦めします。

一時入居金

介護型(特定施設)ケアハウスに入居する際には、「入居一時金」が必要で、施設毎に償却期間と償却率が定められていて、償却期間内に退去すると規定に基づいて返還金が入居者に返金されます。

初期費用の目安としては、0円から30万円のようですが、介護型(特定施設)ケアハウスの初期費用は、施設により大きく異なるため必ず確認してください。

また、初期費用が必要ない施設もあるようです、入居をご検討されている方は調べてみてはいかがでしょうか?

月額費用

ケアハウスの月額費用の項目は、それぞれのケアハウスによって異なりますが、サービス提供費や賃料(居住費)、生活費(食費、水道光熱費など)管理費といった名目で、費用が設定されていることが多いようです。

ただし、電気料に関しては居室ごとにメーターが付いていて、共有スペース以外で使用した電気は利用した量に応じて支払いが発生する施設もあります。

また、介護型(特定施設)ケアハウスでは、要介護度に応じた介護サービス費(自己負担分)が必要となり、月額費用は一般(自立)型ケアハウスよりは高くなります。

ケアハウスにかかる費用(目安)

 自立型ケアハウス介護型(特定施設)ケアハウス
初期費用0~数十万円0~数百万円
月額費用7~15万円8~20万円
介護サービス月額費用必要に応じて外部の介護サービスを利用した分のみ介護保険料の自己負担分 (介護度により異なる)
その他費用日用品代、光熱費、医療費など日用品代、光熱費、医療費など

※表の価格はあくまでも目安です。初期費用、月額費用は各施設により異なります。詳細は各施設にお問合せください。

ケアハウスのメリット・デメリット

比較的安い料金で利用することができるケアハウスですが、メリットとデメリットを見ていきましょう。

ケアハウスのメリット

費用が安い

自立型ケアハウスでは、月額利用料が10万円以下のところもあります。

介護サービスを個別に利用した場合には別途費用が発生しますが、他の施設から比べるとかなり月額費用を抑えることができます。

また、所得によっては事務費が軽減されるため毎月の負担額が安くなり、低所得者の人でも入居しやすいこともメリットとなります。

プライバシーが守られる全室個室

特別養護老人ホームの多床室は、利用料が安いことで知られていますが多床室は大部屋です。しかし、ケアハウスは全室個室のため、ひとり一人のプライバシーは確保されます。

介護型(特定施設)ケアハウスなら要介護1から入居可能

特別養護老人ホームは、要介護3にならないと入居ができませんが、介護型(特定施設)ケアハウスなら、要介護1から入居が可能です。

ケアハウスのデメリット

自立型ケアハウスは、介護度が高くなると退去の可能性も

自立型ケアハウスでは外部の事業者と契約すれば、介護を受けながら生活することはできます。

しかし、要介護度が高くなったり常時医療行為が必要になった場合には、退去しなければならないケースもあります。

医療的ケアを多く望む方には適さない?

介護型(特定施設)ケアハウスでは食事・入浴・排泄といった介助が受けられますが、看護師が24時間常駐していないケースも多く、常時医療ケアが必要な方には適していないかもしれませんし、入居を断られるケースもあります。

すぐに入居できない施設もある

他の施設より費用が安いため入居を希望する人が多く、申し込みをしてもすぐに入居することができないケースが多いようです。施設により待機期間は異なりますが、1年以上待たなければ入居できない施設もあるようです。

まとめ

ケアハウスへの入居を検討されている方は、複数のケアハウスに申し込みをする。待機期間にほかの施設に入居しておくなどのことも検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

埼玉県生まれ。博報堂勤務を経て、埼玉県内の介護事業会社勤務。
医療福祉接遇インストラクター、東京都福祉サービス評価推進機構評価者。
2001年より成長期の大手介護事業会社において、広告宣伝室室長として、社外向けの広報誌の作成、入居者促進業務に携わる。

書籍
『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』

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