特養と介護付き有料老人ホームの違い

前回の「老人ホームの種類」では特別養護老人ホーム(特養)のお話しを少しおさらいをしましょう。

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特養は、年収によって負担限度額制度というものがあり、年収の少ない人は居住費(部屋代)と食費の「補足給付」を介護保険から受けることができるからです。

ただし「補足給付」を受けることができる方は、住民税非課税世帯の方に限ります。

また、特養には入居できる方の条件が次の3つが挙げられます。

・65歳以上で要介護3以上の高齢者
・40歳~64歳で特定疾病が認められた要介護3以上の方
・特例により入居が認められた要介護1~2の方

運営母体と月額利用料の違い

「特養と介護付有料老人ホームの違いはなんですか?」と聞かれるますが、ものすごく雑な言い方ではありますが「基本一緒です」と答えています。

どちらも24時間いつでも施設にいるスタッフから介護が受けられ、3食のお食事とおやつ付き、レクリエーションや季節の行事で楽しませてくれるので、簡単に言えば「基本一緒」です。

「じゃあ!どこが違の?」と言われると、まずは運営母体の違いです。

先に記述したように、特養は、社会福祉法人や地方自治体しか運営できないのです。

どんなに民間の企業が「特養やりたい!」と手を挙げても認可はおりません。

しかし介護付有料老人ホームは、都道府県から「特定介護入居者生活介護」の指定を受けることで民間企業が運営できます。

次に大きな違いは、特養は、基本要介護3以上の方しか入居できない施設ですが、介護付有料老人ホームは、それぞれの施設が決めた基準をクリアできれば入居ができます。

要支援2以上であれば入居の対象となる施設が多いようですが、要支援1からを入居の基準にしているホームや、別途費用はかかりますが「自立」の方が入居できるホームもあります。

そして決定的な違いは「1ヶ月の利用料」です。

特養は年収に応じて利用料が異なりますが、介護付有料老人ホームは年収が低かろうが高かろうが毎月の利用料(基本)は一緒です。

特養にはない「入居金」ってなに?

介護付有料老人ホームの中には、特養にはない入居時に「入居金」というものを設定しているホームもあります。

「入居金」は入居時に一定期間分の家賃を前払いするという意味合いのものです。

入居金を支払うメリット・デメリット

「入居金」は家賃に充当されます。

したがって「入居金」を支払うことで毎月の利用料を安く抑えることができます。

メリット
7年償却を設定している施設が多いですが、その年数を超えたとしても追加で費用は発生しないケースが多いため、長くホームに入居できるようであれば支払い総額を考えると「入居金」支払って入居したほうがお得になります。
デメリット
数百万円というかなり高額金額を一括で支払う必要がありますし、クーリングオフ対象期間(90日)を過ぎた後に途中で退去した場合に初期償却分の返還金はありません。どんな理由で退去するにせよ、初期償却分は返金されませんので「このホームは私には合わないから転居したい」と簡単に考えられなくなるかもしれません。

入居金0円のメリット・デメリット

入居時の費用を安く抑えたいとお考えの方には、入居金0円のホームがおすすめです。

メリット
なんといっても入居金が不要なので検討しやすく、入居したものの「私には合わないわ」と感じたらすぐに退去できることもメリットの一つです。
デメリット
入居時に家賃相当分の金額を支払っていないため、毎月の支払額は入居金を支払ったケースよりも高くなります。また、長期に入居する場合には、退去するまでの支払い額の合計が入居金を支払った場合より高くなるケースがあります。

月額利用料金はいくらかかるの?

首都圏にある介護付有料老人ホームの月額利用料金の相場は20万円~35万円程度ですが100万円越えの施設もあります。

内訳は、家賃・管理費・食費・共益費などですが、この他に介護保険の自己負担金、医療費(往診医や口腔ケア費)、おむつ代、理美容代などが必要になるため、少なくとも毎月20万円以上は必要だと考えておいた方がいいでしょう。

ホームページや、チラシなどには「月額利用料178,000円~」等と、一見すると安価な価格で表記されている場合がありますが、よくよく読んでみると「〇〇〇円~」と「~」がついている場合が多いのです。

そして、必ず小さい(なぜか小さい文字)字で、「上記の金額のほかに、〇〇〇、〇〇〇、〇〇〇が必要となります。詳細はお問合せ下さい」となっているところがほとんどです。

すぐに「安い!」と飛びつかず、じっくり読んでみましょう。

「安いからここに決めた!」と申し込みをしようと話を聞いたところ、ホームページやパンフレットに表記されている金額以外に必要な支払いが多くあり、結局は月々の支払額の合計が25万円以上になってしまうなんてことはよくあることです。

利用者1人に対しての職員の人数も確認しよう

介護保険法により、特養も介護付有料老人ホームなどには入居定員に対する必要な職員配置数「3:1」の基準が定められています。

これは、入居者3人に対し1人の介護職員または看護職員を配置しなくてはならないという意味ですが、常勤の総数が3対1の基準を満たしているということで、「見学にいったら、入居者が9人いたのに、職員2人しかいなかったわよ!」と思わないでくださいね。

それ以上に手厚い職員体制のホームもある

「手厚い職員体制」をとっているホームも多くあります。これは、介護保険法で決められた「3:1」より職員を多く配置しているという意味です。

例えば「2:1」の場合入居者2人に対して、1人の介護職員が配置されていることになります。

きめ細やかな介護を望んでいる方であれば「手厚い職員体制」をとっているホームがお薦めです。

ですが・・・

「その費用ってどこから捻出しているのかしら?」と疑問に思ったあなたは鋭いです!

ホームによって呼び名は異なりますが、なんちゃらサービス費とか上乗せ介護費用などと言う名目で入居者が支払っていますので、1ヶ月の利用料金は高く設定されているホームが多いです。

医療依存度の高い方は24時間看護師がいるホームがお薦め

介護付有料老人ホームの場合、看護職員(看護師もしくは准看護師の資格が必要)は、入居者30名未満で最低1人という基準が決まっていますので、施設には看護師がいます。

しかし「24時間いなくてはだめですよ~」というわけではないので、日中(9時~18時とか)だけしかいない施設もあります。

インシュリン注射や経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)、痰の吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)、中心静脈栄養(IVH)、在宅酸素などの医療行為が常時必要な方は、24時間看護師が常駐しているホームをお薦めします。

ホームページで検索すると「我がホームは24時間ナースがいまっせ!」と大々的にアピールしているのですぐに見つけることができます。

特養にも看護師は配置されていますが、夜間に看護師を配置しているところが少ないため、夜間に痰吸引が何回も必要な方などの、医療依存度の高い方は入居をお断りされるケースもありますので注意が必要です。

本格的なリハビリができるリハビリ特化型も

多くのホームでは、トイレや着替え、入浴、食事等の日常生活動作そのものをリハビリとしてとらえ、自立した生活を支援するという考え方の「生活リハビリ」を取り入れていますが、「マシーンを使ったリハビリ」をご希望の方には、「リハビリ特化型」のホームをお薦めします。

リハビリ特化型とうたっている割には、ちょっとなあ~と思う所もありますが、本格的なマシーンを数多くそろえ、専門のPT(理学療法士)やOT(作業療法士)を数多く配置し、マンツーマンでリハビリに対応してくれるところもあります。

今や看取りは当たり前

特養は看取りをするけれど、介護付有料老人ホームは看取りをしないと思っている方も多いようですが、終末期のケアを行う報酬として「看取り介護加算」が新設されてから、職員、看護職員が、かかりつけ医と連携をとり、多くの介護付有料老人ホームで看取りの対応を行っています。

今や、介護付有料老人ホームでの看取りは当たり前となっています。

ただし、看取りを行っていないホームもありますので、事前にお問合せください。

支払い続けられる利用料で絞込み必ず見学

「どこかお薦めのホームはありますか?」と良く聞かれます。

仕事柄様々なホームを見学していますが「いいなあ~ここに入居したいなあ~」と思うホームはいくつかありますが、残念ながら入居一時金は数千万円、月額利用料だって60万円とかのすごく高いホームなんです。

宝くじにでもあたらない限り入居できないですが(笑)。

「じゃあどうやって探すのよ!」と怒られそうですが、お金持ちで月額利用料なんか気にしない方以外は、まずは支払い続けられるだけの月額利用料から絞り込むことをおすすめします。

病気に入院するのと異なり、ホーム入居は何年や何十年も入居するかはわかりません。

実際、私の母は10年以上ホームに入居しています。

当初、介護付有料老人ホーム(月額利用料約27万円)に入居していましたが、ある日「おや?なんで貯金がこんなに減るんだ?」と気が付いて、ざっと利用料を計算したら2,000万円以上支払っていたことが判明して冷や汗をかきました。

どんなに気に入って入居したホームでも、支払いが滞れば退去せざるを得なくなります。

夢も希望もない話ですが、まずはある程度余裕を持って支払うことができるホームに絞りましょう。

ご紹介したように、介護付有料老人ホームはそれぞれに色んな特徴があります。

同じ運営母体にも関わらず職員や入居者によってホームの雰囲気は全く異なりますので必ず見学をしましょう。

ホーム内を見学し、職員やスタッフの表情を観察し、施設長やホーム長から話を聞くことはできますので、是非、現地に足を運んでください。

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