生活支援・認知症・介護・身元保証・有料老人ホームへの住み替え・終活まで。シニアが安心して暮らせる総合支援窓口
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要介護高齢者の長期療養・生活のための施設

介護医療院は地域包括ケアシステム(※)の強化のため、新たな介護保険施設として平成29年に創設された介護保険法に基づき、介護保険サービスを利用できる公的な入所施設です。

  • 重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムです。

介護保険施設は次の3種類がありますが、「介護療養型医療施設」は、令和6年3月31日で廃止になりました。

介護老人福祉施設
特別養護老人ホームの事です。特養とも呼ばれます。

介護老人保健保健施設
老健とも呼ばれます。在宅へ戻ることを前提として、概ね3か月間を入所期間とするリハビリを中心とした施設です。

介護療養型医療・介護医療院
長期に入院して療養する施設です。

介護医療院の役割

在宅での介護が難しく、介護を必要とするため施設に入所している高齢者の中には、医療の必要性が高い人も多く、疾患によっては容体が急変するリスクを抱える方もいらっしゃいます。

比較的病状が安定している高齢者であれば、特別養護老人ホーム(特養)への入所も可能ですが、夜間に看護師の人員配置基準がないため(夜間に看護師がいるケースもある)、夜間に日常生活上に必要な医療処置が必要な高齢者は入所を断られるケースが多くあります。

介護付き有料老人ホームの中には、夜間看護師がいるホームもあり、夜間の医療処置ができないことで特別養護老人ホームに入所できなかった高齢者を受け入れています。

しかし、24時間看護師がいる介護付き有料老人ホームの1か月の利用料は、高額なケースが多いため入所できない高齢者もいます。

また、医療を必要とする高齢者の割合が高くなり、長期の入院をせざるを得ないケースも多く、こうしたニーズに対応が可能な新たな介護保険サービスの選択肢としての役割として「介護療養型医療施設」の次の受け皿として「介護医療院」が創設されました。

介護医療院・介護老人保健施設・介護老人福祉施設の違い

3つの施設の大まかな違いをご紹介します。※厚生労働省HP 介護医医療院とはから一部抜粋

介護医療院

長期療養が必要な要介護者のための施設です。
要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および、機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的としています。

介護老人保健施設

在宅復帰を目指す要介護者に対してリハビリ等を提供する施設です。
要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、在宅における生活を営むことができる様にするための支援が必要である者に対して、施設サービス計画に基づいて看護や器楽的管理の下における介護および機能訓練その他の必要な医療並びに日常生活上で世話を行うことを目的としています。

介護老人福祉施設

要介護者のための生活施設です。
入居する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行うことを目的としています。

介護療養型医療施設と介護医療院との違い

今まで医療処置が必要な高齢者のニーズを担っていて令和6年3月31日で廃止になった、介護療養型医療施設と介護医療院とはどこが違うのでしょうか?

介護療養型医療施設

  • 医療処置が必要な介護度の高い要介護者向けの介護施設です。
  • 居室は、病院のように相部屋が多く、個人のプライバシーが完全に保たれている環境ではありません。
  • あくまでも療養を基本としているため、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなどに比べるとイベントやレクリエーションなどの実施が少ないケースが多い。

介護医療院

  • 介護医療院はⅠ型とⅡ型に分かれています。
    Ⅰ型は、これまでの「介護療養型医療施設(療養機能強化型)」相当のサービスを提供することで、医学的管理を常時必要とする方が入居対象となります。
    Ⅰ型はさらに「療養機能強化型A・B」の2タイプに分かれます。
  • 一方Ⅱ型は、心身状態が比較的安定している方を入所の対象としています。
  • 低所得者への配慮として、介護老人保健施設や特別養護老人ホームと同様に、補足給付(住民税非課税世帯の方を対象に、年収、預貯金に応じて居室代と食費が介護保険からの補填を受けられる)の対象施設です。
  • 看取りやターミナルケア(終末期医療)も提供します。
  • 「住まいと生活を医療が支える新たなモデル」として創設され、「利用者の尊厳の保持」と「自立支援」を理念に掲げ、「地域に貢献し地域に開かれた交流施設」としての役割を担うことが期待されています。
  • 生活施設としての役割を果たすために、Ⅰ型Ⅱ型いずれも1部屋4人以下、1人あたりの面積が8㎡以上と定められています。
    相部屋(多床室)の場合でもカーテンでの仕切りではなく、家具やパーティション等による間仕切りの設置など、プライバシーの尊重などが求められています。
  • 介護老人保健施設や特別養護老人ホームと同様に地域交流が基本方針として位置づけられています。

これらのことから解るように、介護療養型医療施設よりも医療を受けながら日常生活に重点を置いた施設と言えるでしょう。

介護医療院の入居条件

介護医療院の入居条件は、要介護認定1〜5を受けた65歳以上の方で要支援の方は対象外となります。

また、40〜64歳の方でも初老による認知症や関節リウマチなど、16種の特定疾病による要介護認定を受けていれば入所対象となります。

入居できる順番に関しては日常的な医療ケアを必要とする方や、24時間の介護を必要としている方など、介護度の高い方や緊急性のある方が優先になります。

16種類の特定疾病とは

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症(MSA)
  • 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症(ASO)
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護医療院で受けられるサービス

介護医療院は、医師や薬剤師の配置が義務付けられています。医師はⅠ型で、入所者48人に対し医師1名配置。Ⅱ型で入所者100人に対し1名配置となっています。

また、薬剤師はⅠ型で、入所者150人に対し1名配置。Ⅱ型で、入所者300人に対し1名配置となっており、重度の要介護者を受け入れる体制が整っていることがわかります。

そのため、介護だけではなく、施設によって詳細は異なる場合がありますが、喀痰(かくたん)吸引や経管栄養、床ずれの処置、膀胱留置カテーテル、人工肛門(ストマ)、在宅酸素療法などの日常的な医療ケアも提供が可能です。

「入院加療が必要な状態ではないが、通常の介護施設では継続的な医療ケアを理由に受け入れてもらえない」というニーズに対応する施設となっています。

投薬や処置、検査なども必要に応じて提供され、医療ケアを受けることができます。もちろん看取りも行います。

今まで医療行為が必要なため、老人ホームへ入居することができず、やむを得ず病院に入院していた高齢者や、病院に入院するほどではないが、老人ホームでは不安という本人や家族のニーズに対応できる入所施設になります。

また、特別養護老人ホームは、原則要介護3以上でないと入居できませんが、介護医療院は、医療ケアが必要な方であれば要介護1から入所できますし、重度になっても対応が可能なケースが多いので安心感があると思います。

介護医療院では、ほかの介護施設と同様に、入浴の介助、排泄の介助、食事の介助、入所中の衣類の洗濯や居室の掃除といった日常生活上のお世話のほか、機能訓練としてのリハビリテーションも行われます。

なお、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームには、医師、薬剤師を配置する義務はありませんので、医療の提供は、提携医療機関からの訪問診療医が対応しています。

必要な費用の概算

では、必要な介護費用を見ていきましょう。

居室のタイプやⅠ型とⅡ型のどちらのタイプかによって異なりますが、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)、多床室、療養機能強化型A相当の場合。

要介護度別の1日のサービス費用は次の通りで、ユニット型(個室)の場合はもう少し費用がかかります。

  • 要介護1:833円/日
  • 要介護2:943円/日
  • 要介護3:1,182円/日
  • 要介護4:1,283円/日
  • 要介護5 :1,375円/日

記載した以外に、基本サービス費に加えて施設ごとに異なる付帯サービスや人員体制に関する加算のほかに、介護保険対象外となる食費、居住費(部屋代)、理美容代、日常生活費、テレビ利用料などの料金が必要となります。

介護医療院のメリット・デメリット

介護医療院では、常駐する医師の診察と診断に基づいた医療が提供されるため、医療的ケアが必要な方は適切な医療とケアが受けられ、急な体調不良にも対応してもらえるので安心して生活できます。

また、入院施設ではなく生活施設として位置づけられているため、長期的な入所ができることや、緩和ケアとターミナルケアや看取りが提供されることもメリットです。

一方、デメリットと考えられる点についてご紹介します。

医療サービスが充実している分、介護保険サービス費用に加え、医師や看護師が多いため利用料が高額になる傾向があります。居住費(部屋代)、食費、日常生活費など、1日あたり約5,900円〜6,900円の費用がかかります(施設により異なります)。

また、個室がない場合も多く、プライバシーを重視する方には選択肢が狭まるかもしれません。

さらに、介護医療院の数自体が少なく、令和5年3月末時点での介護医療院開設数は764施設(45,220療養床)となっています。

ですから、希望する地域や条件に合った施設が見つからないケースも考えられます。

利用を検討する際には、入所可能な施設が近くにあるか、満床の場合は待機にどれだけ時間がかかるかも合わせて調べてみましょう。

介護医療院はまだそれほど数が多くありませんが、長期にわたり入所することを考え、複数の介護医療院について資料請求だけでなく、実際に見学に行って施設内の雰囲気やスタッフの様子や、施設の設備などを確認することをお薦めします。

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この記事を書いた人

埼玉県生まれ。博報堂勤務を経て、埼玉県内の介護事業会社勤務。
医療福祉接遇インストラクター、東京都福祉サービス評価推進機構評価者。
2001年より成長期の大手介護事業会社において、広告宣伝室室長として、社外向けの広報誌の作成、入居者促進業務に携わる。

書籍
『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』

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