生活支援・認知症・介護・身元保証・有料老人ホームへの住み替え・終活まで。シニアが安心して暮らせる総合支援窓口

小規模多機能型居宅介護とは

目次

小規模多機能型居宅介護とは?

小規模多機能型居宅介護とは、中重度の要介護者となっても利用者が在宅で自立した生活が継続できるよう、通所介護(デイサービス)を中心に、訪問介護(ホームヘルプ)や短期入所生活介護(ショートステイ)を組み合わせながら利用できる小規模な居住系サービスの施設です。

2006年の介護保険制度改正によって地域密着型サービスとして導入されました。

また、2012年の介護保険制度の見直しに伴い、訪問看護と小規模多機能型居宅介護を組み合わせた「看護小規模多機能型居宅介護」も創設されました。

1つの事業所で「通い」・「訪問」・「泊り」を組み合わせて利用ができる

在宅で介護を受けながら生活している高齢者の多くは、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどを利用していると思います。

通常は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーと、どこの訪問介護事業所にするか、どこのデイサービスセンターを利用するか、どこのショートステイを利用するか等を相談して、ご本人やご家族の要望にあった事業所を決め、個々に契約してそれぞれ別の施設でサービスを利用します。

つまり、訪問介護、デイサービス、ショートステイを利用している場合には3つの事業所と契約をして、利用料はそれぞれに支払うことになります。

小規模多機能型居宅介護は、1つの事業所で、デイサービス「通い」を中心に、訪問介護「訪問」、ショートステイ「泊り」のサービスを組み合わせて利用するため、契約は1つの事業所だけと交わします。

また、これら3つのサービスを同じスタッフが提供するため、顔なじみのスタッフによる連続性のあるケアを受けることが可能とされています。

特に、環境が変化することで周辺症状が強く現れる認知症の方にとっては、同じ事業所で同じ職員からのケアを受けることができるため、安心してケアを受けられるかもしれません。

また、基本利用料は、介護保険の費用負担が介護度に応じた「月額定額制」となっているため、何回利用しても利用限度額をオーバーすることはありません。

ただし、何回利用しても基本料金は変わりませんが、利用したいタイミングで利用したいサービスの定員数を超えていると利用ができませんので、注意しましょう。

小規模多機能型居宅介護の対象者と1日あたりの利用人数

小規模多機能型居宅介護は地域密着型のサービス(※)となるため、要介護1~5の認定を受けた方で、事業所と同一の市町村に住んでいる方が対象となります。

なお、要支援1あるいは要支援2の方は、「介護予防小規模多機能型居宅介護」のサービスが利用できます。

1事業所の利用者の登録数定員は、29人以下で、1日当たりの「通い」の利用者定員は登録

定員の2分の1~15名の範囲で、内概ね15人以下。「泊まり」の利用者は通いの利用定員の3分の1~9名の範囲内概ね9人以下となっていて、「小規模多機能」の名前のとおり、少人数でのケアを受けることができます。

ただし、登録定員が26名以上29名以下で、居間および食堂の面積が定められている広さを確保してある場合には、「通い」の利用定員を18人以下とすることができます。

※地域密着型サービスとは
2006年4月の介護保険制度改正により創設。認知症高齢者や中重度の要介護高齢者等が、出来る限り住み慣れた地域で生活が継続できるように市町村指定の事業者が地域住民に提供するサービス。
事業所が所在する市町村に居住する者のみが利用対象者となる。

小規模多機能型居宅介護の月額利用料

小規模多機能型居宅介護の利用料金は「月額定額制」です。 要介護度により価格は異なりますが、「通い」「訪問」「泊まり」のサービスを何回利用しても料金は変わりません。

月額定額料金の利用料の他に、加算費用・食費・宿泊費・おむつ代などが必要となります。

自己負担額の目安(1割負担の場合)

要介護度単位数1ヶ月の料金介護保険1割負担
要支援13,450単位34,500円3,450円
要支援26,972単位69,720円6,972円
要介護110,458単位104,580円10,458円
要介護215,370単位153,700円15,370円
要介護322,359単位223,590円22,359円
要介護424,677単位246,770円24,677円
要介護527,209単位272,090円27,209円
※1単位10円で計算

上記の価格は1割負担者の例となります。一定以上の所得のある方の場合は2割または3割負担となります。

また、2015年4月より事業者と同一建物に居住する方(同一建物とは、「小規模多機能と構造上又は外形上、一体的な建築物」のことを意味します。

具体的には養護老人ホーム(※1)、軽費老人ホーム(※2)、有料老人ホーム(※3)、サービス付き高齢者向け住宅は、同一建物居住者以外の居住する者に比べて自己負担額が安くなります。

※1:環境及び経済的に困窮している高齢者のための支援施設
介護護施設とは異なるため、提供されるサービスに介護サービスは含まれない。
※2:ケアハウス
環境、住宅事情、経済状況などの理由により、居宅において生活することが困難な高齢者を入所させ、食事その他日常生活上必要な便宜を提供する施設。
※3:介護付き有料老人ホーム

特定施設生活介護を除く。

このサービスを利用しながら、訪問介護・訪問リハビリテーション、・居宅医療管理指導・福祉用具貸与なども利用できます。

小規模多機能型居宅介護のメリット

1ヶ月の利用料が定額制

利用料は介護保険支給限度基準額内の月額費用のため、何回利用しても支給限度基準額(※)をオーバーすることはありませんので、安心して介護サービスを受けられます。
※支給限度基準額:介護度により介護保険のサービスを利用できる限度額

24時間365日利用回数の制限なく利用することが可能

「通い」・「訪問」・「宿泊」の3つのサービスを24時間365日何回でも利用することができます。
(サービスの定員数内に限る)

1つの契約で3つのサービスが利用できる

「通い」・「訪問」・「宿泊」の3つのサービスをそれぞれで利用しようとする場合、契約はそれぞれの事業所別に3回必要となりますが、小規模多機能型居宅介護は3つのサービスを1つの契約で利用でき、契約の手間が省けます。

少人数でアットホーム。顔なじみのスタッフが3つのサービスを担当

1事業所の利用者の登録数定員は、29人以下と少人数です。アットホームな雰囲気のなか、顔なじみのスタッフからサービスを受けることができます。

生活に合わせたサービス利用が可能

利用者や家族の状況に合わせて、「通い」「訪問」「泊まり」をひとつの事業所が行うため、「デイサービス利用後そのまま宿泊」「訪問介護を受けて、そのままデイサービスを利用」といった使い方も可能です。

単体のショートステイを利用する場合は事前の予約が必要ですが、定員数以内であれば急な対応も可能です。

また、単体での訪問介護を利用する場合、30分や1時間などの時間制限がありますが、短時間だけ利用したい場合なども可能です。

小規模多機能型居宅介護のデメリット

小規模多機能利用中は併用できないサービスがある

小規模多機能型居宅介護を利用している場合、他の事業所の訪問介護、デイサービス、ショートステイは併用して利用ができません。

サービスをすでに利用している場合は、他の事業所との契約は解除しなくてはなりません。また、ケアマネジャーも小規模多機能のケアマネジャーに変更になります。

また、サービスのひとつに不満があった場合、不満のあるサービスだけ事業所を変更したいとなっても変更することができません。

ただし、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具貸与なども利用できます。(看護小規模多機能居宅介護を利用の場合、すでに利用している訪問看護事業所との契約解除も必要となります)

利用頻度が低いと割高に

 1ヶ月の利用料が定額制のため、利用頻度が少ない方にとっては割高になるケースもあります。

1日当たりの利用者定員が決まっているため、利用できないことも

1日あたりの「通い」の定員数、「泊まり」の定員数が決まっているため、希望どおりに利用できない場合もあります。

小規模多機能型居宅介護は、こんな方にはおすすめです

  • 住み慣れた自宅で、馴染みの環境の中でこれからも生活し続けたい方。地域密着型サービスのため、利用している人も同じ地域の方ばかりです。
  • 1ヶ月の利用料が毎月変動することに対しての不安がある方。
  • 支給限度基準額をオーバーして自費あつかいになることが不安な方。
  • 大規模デイサービスのような、大人数の方とのかかわりが苦手な方。「通い」の1日あたりの利用者は15名と小規模です。
  • ご本人や同居の家族の都合に合わせて、介護を受ける時間や日にちに対して柔軟に対応してほしい方。
  • サービスを受ける事業所ごとにスタッフが変わることにストレスを感じるため、顔なじみのスタッフからサービスを受けることを希望している方。
  • 環境が変化することに苦手な方。
  • デイサービスの送迎時の送り出しやお迎え、着替えなど、短時間だけ訪問介護を利用したい方。
  • 急な「泊まり」などにも対応してほしい方。

小規模多機能型居宅介護は、あまり向いていないかもしれない方

  • 常時、専門的な医療的ケアや介護を必要とする方や、寝たきりなどで介護度が高い方。
  • 今、契約しているケアマネジャーを変更したくない方。
    (小規模多機能型居宅介護を利用するには、同事業所のケアマネジャーと契約をしなければなりません)
  • 現在利用しているデイサービスを同時に利用したい方。
  • 現在利用している訪問介護のヘルパーさんを同時に利用したい方。
  • いろいろな事業所のサービスを利用して、自分に合ったところを探したい方。
  • たくさんの人や色々な人と関わりたい方。
  • 最低限の介護サービスだけを利用したい方。
  • 介護保険の自己負担割合が2割や3割などで定額制だと割高になってしまう方。

まとめ

小規模多機能型居宅介護は、国が目指している「地域包括ケアシステム」を受け、住み慣れた地域で自立した生活をし続けられるようにと創設されたサービスです。

利用者の身体状況や生活に合わせて、「通い」「訪問」「泊まり」を必要な時に必要な回数のサービスを受けることができます。なおかつ、柔軟に対応してくれるところも大きな魅力のひとつです。

また、小規模で利用者定員が定められているなかで運営されているため、スタッフと利用者が顔なじみになりやすく、密なコミュニケーションが取りやすくなります。

大きなメリットは、月額利用料が一定であるため自費負担分を心配することなくサービスを利用できること。

急な依頼にも柔軟に対応してくれること等が挙げられます。

在宅介護をする介護者にとっても強い味方となるサービスです。柔軟にサービスを利用し、在宅介護の負担を減らしましょう。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

埼玉県生まれ。博報堂勤務を経て、埼玉県内の介護事業会社勤務。
医療福祉接遇インストラクター、東京都福祉サービス評価推進機構評価者。
2001年より成長期の大手介護事業会社において、広告宣伝室室長として、社外向けの広報誌の作成、入居者促進業務に携わる。

書籍
『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』

目次