有料高齢者住宅へ住むことを検討している。あるいはご家族を有料高齢者住宅へ入居させたいと考えている人は、いざ探そうと思っても、介護施設の種類が多く戸惑うのではないでしょうか?
老人ホームを探す際に、簡単で分かりやすい老人ホームの違いを紹介していきたいと思います。
老人ホームを比較する際には目安となるのが、次の3点に集約されますので、これらを基本にしていきます。
老人ホームは公的施設と民間施設がある
老人ホームは大きく分けて2つのタイプの施設に分かれます。それは、公的施設と民間施設です。
公的施設は、国や都道府県などの自治体が運営しています。
民間施設は、一般企業やNPO法人が運営をしていて、生活においては自由度が比較的多い傾向があります。
介護施設は10種類以上も違うタイプのものがあり、それを全部覚えるのは、介護事業者や介護関係者でなくては無理な話です。
また、デイサービスや認知症グループホームなどしか仕事をしていないと、介護のプロであっても介護施設の違いを明確に説明できる人は少ないでしょう。
さらには、近年、介護の規定やルールの変更が大きいため、常に最新の施設状況を知っておかないと、正確には介護施設の違いを答えることはできないでしょう。
ですから、一般の方が、介護施設の違いを調べようと思っても、すごく時間がかかってしまいます。
今回の内容では、介護施設の基本的な部分を紹介していきます。
介護保険の利用年齢について
補足ですが、介護保険の利用は基本的には65歳以上です。40~64歳の方は、16種類の特定疾病に限り介護保険の利用が可能です。
よって、介護施設の利用も40歳~64歳の方でも介護保険を利用できる人は、入所可能な場合が多いですので、施設入居を検討される際には確認が必要です。
公的施設の種類について
社会福祉法人
社会福祉法に基づいて設立された法人で、都道府県知事や厚生労働大臣が認可しているため公的施設に位置づけられています。
特別養護老人ホーム
行政や社会福祉法人が運営している介護施設で、原則として要介護3~5の方が入居可能老人ホームというと、真っ先にイメージされるのが特別養護老人ホーム。介護を象徴している代表的な介護施設です。
月額費用は6万円~15万円で、部屋の賃料、食費、介護保険度別の費用が含まれます。
看取り介護をしている施設も多く最後まで暮らすことができますが、医療的対応ができないことが多いため、その際は他の施設や病院に変わる必要が出てきます。
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老人保健施設
病院から退院する際、自宅での生活にもう少し時間が必要な方のための一時的な入居施設で、原則として3ヶ月~6ヶ月の入居期間となっています。
自宅の生活の復帰を目的としているためリハビリの専門職が在籍しています。また、医師も配置されており看護師の人数が特別養護老人ホームよりも手厚いです。
要介護1~5の方が入居可能です。月額費用は8万円~20万円くらいです。
介護医療院
2018年4月に創設された施設。長期療養・生活のための入居施設で、医師や看護師が常駐しています。介護だけでなく、医学管理、看取り、ターミナルケアを提供できます。
月額費用は8万円~13万円。要介護1~5の原則65歳以上の方が入居できます。
医療ケア中心のため、レクレーションなどの生活の充実は望めません。
介護医療院には、Ⅰ型とⅡ型があります。
Ⅰ型は、 重篤な身体疾患を有する者および身体合併症を有する認知症高齢者等と規定されています。
対するⅡ型は、Ⅰ型に比べ容体が比較的安定した者と規定されています。
ケアハウス
ケアハウスは、比較的安い料金で利用できる軽費老人ホームに含まれ、家庭環境や金銭的な問題により自宅で生活することが難しい高齢者の住まいとして誕生しました。
軽費老人ホームは食事を提供するA型、自炊できるB型、食事と生活支援を提供するC型がありましたが、2008年よりA型とB型の新設がなくなり、C型に統一となっています。
ケアハウスには、一般型と介護型があります。
一般型ケアハウスには、独居生活に不安がある60歳以上の高齢者が入居できます。
自立~軽度の要介護の方が対象で、必要があれば、外部の介護サービスを利用することができます。入居時に保証金が必要となります。
月額費用は、7万円~13万円となります。
介護型ケアハウスは、介護が必要な方がメインとなります。
65歳以上の要介護1~5の方が対象となります。
入居の際には、入居一時金が必要で月額15万円~20万円ほど必要となります。
ケアハウスの数はまだまだ少ないです。また、公的施設で自治体からケアハウスには補助金が支給されるため、入居審査があり、入居するには条件があり誰しも入居できるわけではありません。
民間施設の種類
民間施設にもいくつかタイプがあります。特徴としては一時金や入居金、敷金が必要なことです。
また、公的施設に比べて月額必要が高めになる傾向があり、居室の契約方式が施設により異なるため注意が必要です。
有料老人ホームは、居室を利用権方式で使用するところが多いです。入居時に一時金が必要な場合があります。利用権方式とは、居住部分にかかる料金と介護サービス・生活支援の一体化した権利方式です。
サービス付き高齢者向け住宅は、居室を賃貸契約で使用します。敷金が必要な場合があります。現在では、民間施設の中には、不動産、警備会社、住宅メーカーなど異業種からの参入が増えています。
そのため、独自の介護サービスや介護スタイルがあります。
介護付有料老人ホーム
本格的な介護や生活支援を受けることができます。介護付有料老人ホームは、介護保険サービスを定額で使用することができます。これは、特別養護老人ホームや老人保健施設と同じ形式です。
ですので、24時間体制の介護を安心して受けることができ、入居金が必要な場合が多いです。一般の方向けから富裕層向け、医療に強いタイプなど、特色は実に様々です。
要介護1~5で65歳以上の方が入居できます。
入居金は、0~1億円と幅があり、月額費用は、10万円~40万円くらいです。
食事、排泄、入浴、日常生活全般の介護を受けることができます。レクレーションもあります。それは都道府県より【特定施設入居者生活介護】の指定を受けた施設です。
特定施設入居者生活介護の指定は、有料老人ホーム、経費老人ホーム、養護老人ホーム、一部のサービス付き高齢者向け住宅となっています。
設置基準があり、指定を受けられる施設数にも限りがあります。設置や運営のハードルが高い施設形態と言えるでしょう。
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住宅型有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとの違いは、介護保険サービスを使った分だけ負担するというところです。例えば、トイレの介護20分1回160単位、入浴60分390単位と言った具合です。(1割負担の場合、160単位=160円換算となります)
賃貸住宅に住んでいて、介護が必要な方は、自宅での介護と同じように、介護サービスを時間単位で契約して利用するというものです。
ですから、要介護4,5の方のように、1日単位の介護をする時間や回数が多いと、介護保険の限度額を越えることも多く、介護保険+自己負担となり、高額となりがちです。
介護保険だけで、月額、10万円、20万円となる可能性もあります。
特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームの介護保険サービスは、要介護5で、年収770万円未満の場合は、上限が44400円に抑えられているところからも、その違いを感じることができるでしょう。
自立~要介護5で60歳以上の方が入居できますが、費用的には要介護3までくらいの利用が適しています。
入居金は、0~1億円で、月額費用は、10万円~40万円くらいです。
サービス付き高齢者向け住宅
高齢者向けの賃貸住宅です。入居費用は有料老人ホームよりも安くなっています。もともとは、基本的に介護サービスを必要としていない自立している高齢者を対象にしていました。しかし、近年は介護が必要とされている方も多く入居されています。
また、ナーシングホームと呼ばれる、医療的ケアが必要な方、寝たきり専門、末期ガン対応など、専門に特化したタイプを増えてきています。
住宅型有料老人ホームと同様に、使った分だけの介護サービスの費用を負担します。
自立~要介護5の60歳以上の方が対象となっていて、月額費用は12万円~25万円となっています。
ここまで、特別養護老人ホーム(特養)と介護付有料老人ホームをご紹介致しました。 介護付有料老人ホームは民営が運営する老人ホームですから、それぞれのホームがそれぞれの特長を打ち出していることがお分かりいただけたでしょうか? 「え?[…]
グループホーム
5~9人くらいの少人数の認知症の方が過ごす施設です。認知症の診断を受けている必要があります。
料理や洗濯、掃除などできることをしながら生活を送ります。
【地域密着型】と呼ばれる、市町村に住民票がある方が入居できる施設です。
要支援2,要介護1~5の方で、65歳以上の方が入居対象です。
入居金が必要な場合があります。月額費用は、12万円~18万円となっています。
老人ホームを簡単に早く選ぶ方法
介護施設選びは、今まで紹介してきた①公的施設か民間施設か?②介護にかける費用は?③介護生活の内容は?、この合計3点に絞られます。
介護施設での生活の自由度を求めるならば、民間施設の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が向いていますし、要介護4,5のような方でしたら、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームが向いています。
ですが、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅でも、看取りまで含めた介護をしているところもあります。認知症に関しては、グループホームのような少人数での生活が向いている方、特別養護老人ホームのような大人数が向いている場合もあります。
このように、老人ホームを探す際には、入居費用、月額費用、施設の特徴、最後まで過ごすことができるか、希望の生活スタイルなど、多くのことを考慮しながら、検討することになります。
希望するタイプの施設を決めて、パンフレット、見学、入居体験などで検討することになります。多くの施設を知り、比較検討されるのでしたら、介護施設紹介会社を利用してみるのがおすすめです。
介護施設事情や知識が豊富で、希望の施設をリストアップしてくれます。
ですので、介護施設探しのスピードや効率が上がります。しっかりと吟味され、希望に沿うより良い施設探しをしていだければと思います。